左図はホムンクルスの図(池谷祐二著「進化しすぎた脳」から)と呼ばれるもので、人間の身体の様々な部位の機能が、大脳のどこに対応しているかを示しています。脳には「運動野」と「感覚野」がありますが、5本の指とてのひらは、運動野の3分の1、感覚野の4分の1を占めています。これより、手や指は第2の脳とも呼ばれています。よって、手や指の機能の研究をすることは、ヒトの知能を解明することに直結します。よって,ロボットマニピュレーションの研究は知能ロボットを実現する上での一つの非常に大切な要素となります。
ヒトは手による日用生活品の把持や操作を、多くの場合不自由なくおこなうことができます。余りに無意識に対象物の把持や操作を行うので、ヒトはその難しさに気づかづ、難しさについて説明しようと思っても説明に困ることすらあります。しかし、同じことをロボットで行わせる問題は、非常に奥深く、かつ難しいものです。例えば、料理のレシピをロボットに与えて、ロボットに料理をさせる問題を考えてみましょう。実はレシピに書かれていることは、作業の教示の極一部で、ヒトはロボットに膨大な情報を教えなければロボットが料理を実現することは不可能と気づくでしょう。このように、ヒトは進化の過程や成長の過程で様々な物体操作に関する情報を蓄積しており、実際に何等かの作業をおこなう場合は、これらの先験知識を駆使して作業を行います。要するに、ロボットで物体操作を実現する場合、ヒトがほとんど意識することなく使っている「常識」をどのようにしてロボットに実装するかがポイントとなります。
なお、マニピュレーション研究に関するイントロ、ならびに近年の研究動向を知りたい場合、以下の解説記事が参考になります。
(C) Harada Lab.
Department of Systems Innovation, Graduate School of Engineering Science
Osaka University